□黒澤明監督は山本周五郎原作『つゆのひぬま』と『なんの花か薫』の二つの短編を脚本『海を見ていた』を平成6年(1994年)に完成させた。勿論、自分で映画化するつもりで準備されたものであったが、ラストシーンの大洪水シーンに膨大なコストがかかることから製作に至らなかった。黒澤監督の31本目の作品は幻となった。この遺稿を黒澤監督を尊敬していた熊井啓が引き継いで映画化した。2003年に90周年を迎える日活90周年記念作品として2002年7月公開された。